補聴器のカワチの服部です。
今回は、補聴器の両耳装用と片耳装用についてご説明いたします。
当店のお客様で補聴器を購入される際に、『両耳と片耳どちらが良いか?』とよく聞かれます。お客様の聴こえ具合によっては片耳で良い場合がありますが、大半は両耳のが良い場合が多く、お試しに両耳と片耳で補聴器を装用し、聴き比べていただきますとたいていの方が『両耳がよい』と評価されます。
なぜ、両耳装用がいいのでしょうか?
人間の聴覚では、左耳からの音情報は主に右脳に、右耳からの音情報は主に左脳に伝達されます。そして、左脳と右脳にバランスよく音情報が届くことで、左右の脳が協力してすぐれた能力を発揮します。
両耳装用のメリット
1.音の方向感や距離感がつかみやすい。
片耳装用では補聴器をつけていない方向からの音が聞きにくく、また左右の耳で感じる音の大きさに差があることによって適切に音を理解できず、方向感を間違ってしまうこともあります。しかし、両耳装用にすると的確な音情報が得られるため、日常的な危険(例えば後方から接近してきた車など)を回避することにつながります。
2.騒音の多い場所での聴き取りを良くします。
さまざまな騒音がある環境下において、最近の補聴器は騒音と会話音とを区別する性能が向上しており、適切な音声処理により会話がしやすくなります。そのため、片耳装用より両耳装用のほうが、より話し声が聴き取りやすくなります。
3.耳への負担やストレスを軽減します。
両耳装用の方が片耳装用に比べ、小さい音量で聴き取りがよくなります。そのため、音量をあまり上げなくて済むので耳への負担が軽くなり疲れにくくなります。また、音量が小さいと『ピー』『ピー』とうるさいハウリングの発生を少なくできます。
4.聴き取り能力の衰えを予防できる。
耳は音による刺激が少なくなると聴き取る能力が落ちてしまうことがあります。補聴器により適切な音の刺激を耳や脳に与えることで聴き取り能力の衰えを予防できます。
5.小型の補聴器を選べる。
3.に関連しますが両耳装用することで、出力の少なめの小型補聴器(例えばCICなど)でも対応することができるケースがあります。小型補聴器は、あまり補聴器を目立たせたくない方にオススメです。
以上のように、両耳装用の方がメリットが多いですがデメリットは、やはり価格です。しかし、機種によっては多少ランク下げても両耳で装用したほうが良い場合もあるので、試聴して両耳の方が聴き取りが良い場合は両耳装用がオススメです。